ボーダレスな女たち

結婚と同時に起業。『veggy』編集長が考える本当の“豊かさ”

SPECIAL 2018.8.10

「海外」と「お金」をテーマに、海外へ飛び出しビジネスチャンスをつかんできた先輩たちに、30代女子を代表して斉藤アリスが質問する連載企画。第一回目は、出版業界での経験ゼロから出版社を立ち上げ、子育てをしながら雑誌をつくり続けてきたキラジェンヌ代表・吉良さおりさん。出版不況と言われるこの時代に、売り上げを伸ばすベジタリアン専門誌『veggy』は、フランスでの留学経験なしには誕生しなかった!?

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『veggy』編集長・吉良さおりさんのお金と仕事のルール

今年で10周年を迎えるベジタリアン専門誌『veggy』。昨今のオーガニックコスメやスーパーフードの流行で、ナチュラル志向のライフスタイルをおくる人たちは年々増加。創設11年目を迎えるキラジェンヌ社には、中学生から80代まで幅広い読者からのお便りが毎日のように届くそうです。

『veggy』は、そうした人たちのバイブル的存在として揺るがない地位を築いてきました。編集長であり社長でもある吉良さんは今年44歳。今に至るまで、仕事においてどんなことを大切にされてきたのでしょうか?

ベジタリアン専門誌『veggy』の編集長・吉良さおりさん

20代は直感を信じて、即行動派。興味のあることは突き詰める

—まずはじめに、海外へ行かれたきっかけは?

高校の同級生に、学校を1年休んで海外留学をした子がいたんです。その子は1年留年したので1学年下になりましたが、休み時間はいつも私たちのクラスに遊びに来ていました。「早く海外へ出たい」という気持ちが芽生えたのは、その頃だと思います。「まずは英語を勉強しよう!」と思い、19 歳で初めての海外・イギリスへ。そのまま1年間、住みました。

—はじめて行った海外は、留学だったんですね。

そうですね。最初はホームステイで、そのあとは友達とルームシェアをしながら語学学校へ通いました。1年間の留学費用としてまとまった金額を親から預かったのですが、節約していたので帰国する頃にまだ結構残っていて。そのお金でヨーロッパ旅行へ出かけました。いろんな国を点々とした中で一番しっくりきたのがフランスでした。

セーヌ川

—留学が終わる前に、もう次の留学のことを考えていたんですね。

イギリスから帰国してすぐに、御茶ノ水にあるアテネフランセに通い始めました。そこで半年間、徹底的にフランス語の基礎を勉強。その後すぐに渡仏し、少し現地の語学学校に通ってからパリ大学の留学生コースへ入学しました。そこから2〜3年間はパリの16区に暮らしながら、学生をしていました。

—16区だと立地もいいし、家賃が高そうですが...…。

昔でいうお手伝いさんが住むような屋根裏部屋のワンルームを借りていたので、安かったです。当時で月7万円弱くらいだったと思います(日本円に換算した場合)。部屋にはお風呂と小さなキッチンもついていました。

吉良さんの手作りごはん

—吉良さんはベジタリアンだと聞きましたが、この頃からですか?

そうですね。イギリスでホームステイしていた先のおばあちゃんがストイックなヴィーガンで。よく一緒にマルシェへ行ったりご飯をつくったりして、自然とベジタリアンの基本を学びました。フランスでは飲食店はもちろん、ベジタリアン向けのフリーペーパーも当時からありました。欧米ではヒッピーブームからの流れで、そういった文化が自然と根付いているようでしたね。


—ちなみに、アルバイトはされていましたか?

アルバイトはしていなかったですが、ミニコミ誌を自分でつくって、お店に置いてもらっていました。デザイナーの友達にデザインを頼んで、自分で書いたパリのちょっとした記事を載せて。当時はAPCなどのハイエンドなブランドでも「こういうのつくったので、よかったら置いてください」って飛び込みで訪ねると、「いいよ〜」と気軽に置いてくれることも。今考えたら笑っちゃいますけど、若かったからこそできたことです。

取材中

結婚した年に起業、翌年に出産。だからこそ、続けられた

—帰国後は何をされたんですか?

22歳で東京へ帰ってからは、趣味のミニコミ誌を発行したりその他も趣味の延長のようなことをしていました。一冊100円〜300円くらいで、駒沢のバワリーキッチンなど当時のカフェブームの走りといわれるいろんなお店に置いてもらって。

—それが『veggy』の原点だったんですね?

そうかもしれませんね。当時は遊び感覚でしたけど、それがきっかけで書くのが好きになり、コラムの執筆などの依頼も受けるようになりました。あとは英語とフランス語ができたので、ファッション関係の仕事をしている友達から、海外のデザイナーとのメールや電話対応をお願いされたり。そこから広がって、企画書の翻訳やPRなど、ありとあらゆる仕事をフリーランスで受けていました。だから特別どこかに就職して働くという経験は、一度もしていないんです。


—出版社を立ち上げたのは何歳のときですか?

32歳です。今の夫と出会い、その年に結婚をしました。そもそも夫は出版社で働いていて、私と結婚する前に既に独立して編集プロダクションを立ち上げていました。でも話を聞くと売り上げを立てるのが大変そうで、本当にやりたいことで利益を出すには……。「だったら出版社にしよう」と私から提案しました。

創刊10周年を迎えた雑誌『veggy』

—かなり思い切った提案ですね。

編集プロダクションとして出版社からの仕事を受けるよりも、自分たちが出版社になってビジネスをつくっていくほうが、確実に利益が出ると思ったんです。それに人の意見に左右されずに、自分たちのつくりたい本をつくるには、雑誌コードをとって自分たちが発行人になる必要があると思いました。
「日本でもヨガが注目されはじめているし、自然派ライフスタイルの雑誌を出したらイケるんじゃないかな」と思って申請したら、一発で雑誌コードが通りました。

—結婚した翌年に出産されていますが、会社をスタートしたばかりで育児との両立は大変じゃなかったですか?

だからこそ、できたんだと思います。「このままじゃ子供を食べさせていけない」って単純に思ったんですよ。子供ができる前は「お金を稼がなきゃ」とは、そこまで考えたことなかったですから。

三児の母でもある吉良さん
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HOLICS編集部

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