ボーダレスな女たち

イビサ島の伝説のDJを映画に。若干33歳の総監督リリー・リナエさん

SPECIAL HOLICS編集部 2019.6.27

「海外」と「お金」をテーマに、海外へ飛び出しチャンスをつかんできた先輩たちに、30代女子を代表して斉藤アリスが質問する連載。第9回目のゲストは、2020年公開予定、音楽の聖地・イビサ島の伝説のDJのドキュメンタリー映画で総監督を務めるLily Rinae(リリー・リナエ)さん。18歳のとき映像制作を始め「この世界に生きる!」と決意したリリーさんに仕事にかける思いとこれからについてお話を伺いました。

イビサ島伝説のDJ:Jon Sa Trinxa (ジョン・サ・トリンサ)氏

—どんなDJだったんですか?

世間一般でいうDJって、深夜に暗い箱の中でお酒ガブガブ飲みながら......みたいなイメージありますよね? 特にイビサだとドラッグもあるんじゃないの? って。でも私が見たDJは全く別物でした。

—別物? と言いますと?

サンサンと降り注ぐ太陽の下、海の真横のビーチでDJしていたんです。そして全ジャンルの音楽を混ぜるんですよ。普通だったらレゲエはレゲエ、ヒップホップはヒップホップだけなんだけど。そこから大ファンになって、帰国後もずっと彼のラジオを聴いていました。

イビサ島での撮影の様子

—映像にしようと決めたのは?

私が好きなDJと、私の職業ディレクターをくっつければいいじゃん! という、ものすごいシンプルな発想です。

—どんなことから始めたんですか?

まず資金が必要だったので、クラウドファンディング(群衆〈crowd〉と資金調達〈funding〉を組み合わせた造語で、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと)をやりました。成功させるコツって緻密な計画と本音をぶつける動画なんですよ。

—映像ならリリーさんの得意分野ですね。

DJのジョンにOKをもらった2ヶ月後、カメラマンを連れて自費でイビサへ行きました。その動画をアメリカでは「INDIEGOGO(インディゴーゴー)」、日本では「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」というクラウドファンディングサイトで公開。アメリカで130万円、日本で300万円。合計430万円でゴールしました。

ジョン・サ・トリンサ氏と(イビサ島にて)

—すごい! 大成功ですね。公開するのはいつですか?

作品は2019年夏に完成、8月から世界各国の映画祭に出品予定です。映画祭の前に上映することは禁止なので、2019年は耐えの年。一般公開は2020年を予定しています。

—カメラマンとエディター以外のスタッフは有志と聞きましたが、何人くらいいるんですか?

20人くらいです。NYにはエネルギーのある人たちが集まっています。普段の仕事をしながら空いた時間で手伝ってくれていて、彼らなしではこの映画はできませんでした。本当に感謝しています。

映画制作スタッフたちと一緒に

—お金をもらわない有志の参加だと、ついつい期日を過ぎちゃう人とかサボっちゃう人とかいないんですか?

もちろん私がA型でマメなのでこまめに連絡する面もありますが、みんな自分の好きなことだから喜んでやってくれるんです。

—なるほど! みんな自分のためにやっているという感覚なんだ。

そうそう。誰かのためとかそういうことじゃなくて。目標に対しての情熱がみんな同じ方向を向いているから、チームが組みやすいんだと思います。私へのラブではなく、成果物に対しての期待と愛情です。

撮影中、真剣な眼差しのリリーさん

フリーランスだからこそ時間は大切!

—今もお仕事をしながら、映画の制作をされているんですか?

もちろん! 普段の生活があるので。その代わり、自分の中でかける時間をしっかり決めています。「これくらいのギャランティーだから、この時間内で絶対終わらせるぞ!」みたいな。

撮影準備も自ら行うリリーさん(NYにて)

—その感覚はいつ頃、身についたんですか?

フリーランスになってからです。会社員の場合は残業すればするほどお金をもらえるけれど、フリーランスの場合逆ですからね。

—確かに! 言われてみればそうですね。

フリーランスは同じ仕事で2時間かけても10時間かけても、もらえる額は一緒。だったら短い時間で最高のパフォーマンスを出さないと続けられないな、っていうのは結構すぐに気がついて。

撮影風景(NYにて)

—映画の制作と同時進行だったら、尚更そうですよね。

今は映画に自分の時間やお金、全てをかけています。この一年はほとんど遊ぶこともなかったし、お正月もクリスマスもなし! 正直、人生で今が一番大変です。

—そうですよね。大きなの二足のわらじを履いている訳だから。

でも一方で、今が一番楽しいです。本当に自分がやりたい映画を作っているから。スクリーンの四角い箱の中で、好きなことを思いっきり表現できるのが幸せです。

—最後に同じ30代の女性へのメッセージをお願いします!

まず何よりも、自分が好きなことをやることで自分自身が幸せになります。例えばこの映画の主人公も、音楽が大好きでDJになりました。そうしたら周りを幸せにするビーチを作っていたんですよ。それと一緒で、私も好きなことをずっとやっていたら周りも絶対幸せになると信じています。皆さんもお好きなことに、がむしゃらに全力投球してみてください!

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