好きを仕事につなげたひと

30歳で上京。服偏愛者・長尾悦美さんが掴んだバイヤーという夢

SPECIAL 2017.8.25

「好き!」の熱量には説得力があり、「好き!」の裏側には、その人なりのストーリーがあります。そんな“好き”を仕事にしている人々をインタビューしていくシリーズ“好きを仕事につなげたひと”。今回ご登場いただいたのは、髙島屋セレクトショップ「スタイル&エディット」バイヤーの長尾悦美さん。販売員歴13年、バイヤー歴5年。18年もの間、長尾さんを魅了し続ける「服」を扱う仕事。その魅力とは?

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ーー「スタイル&エディット」に移り、晴れてバイヤーとなったわけですね。

そうですね。バイヤーになったはいいけど、数字の組み立ても何も知らない状態でのスタートでしたから、初めの頃はとにかく毎日必死でした。売り場も、お客様に向いていないというか、美しいものを美しくみせるレイアウトになっていなかったんです。なので、まず「こうしたい!」というビジュアルをたくさん集めて、何度も何度もプレゼンを重ねて。まずは内装を変えることからスタートさせ、バイヤーというよりもスーパーバイザー的な立ち位置から入りました。

ーー今やおしゃれな人たちにとって、「スタイル&エディット」は欠かせないショップですよね。

本当にありがたいことです。去年で10周年を迎えたんですが、ようやく「スタイル&エディット」という名前が、ファッション誌などで取り上げていただけるようになりましたね。私自身もインタビューを受けることが増え、少しずつ手応えを感じています。

バイヤーとしては、まだ20点レベルだと思います

出典: FRaU「TOKYO BAG SNAP」より

ーーバイヤーになって丸5年経った今、どんな心境ですか?

正直のところ向いてるのか向いていないのか、まだ分かりません。百貨店ビジネスなので、数字に関してはかなりシビアな世界なんです。でも、販売経験が長かった分、数字よりも人を重視しすぎてしまう面もあって。バイヤーとしては、まだ20点レベルだと思います。

ーーでも、販売もバイヤーも両方できる人って少ないですよね。

そうなんです。しかもVMD(ディスプレイによるマーケティング手法)も組めるので、それは私のいちばんの強みかもしれません。

3年くらい愛用し続けているフミカウチダのニット。「このニットにレザースキニー、コンバースを合わせてNYコレクションに行ったら、写真家のビル・カニンガム氏にすごく褒められ、写真を撮ってもらったんです。あの興奮は今でも忘れられない思い出です」

ーーいつも服を選ぶときの基準は?

仕事柄よいものを見極める力が必要なんですが、私の場合、それはデザインではなく素材なんですよね。バイヤーという仕事で何千点もある服の中から選ぶ場合も、売れるかどうかの前にまずは素材を見ます。

ーーどんな素材だったら購入する?

上質なシルクやリネンはもちろん、ミリタリーアイテムの無骨さも、繊細でフェミニンなレースも好き。女性って自分が可愛く見えるかどうかという視点で物を選ぶ傾向がありますが、私にはない。デザインではなく素材重視なところは、完全に“ギア好き”の男目線なんでしょうね。

誰かがチャンスを運んできてくれるとういうか、物事を引き寄せてくれる

出典: FRaU「夏服にマンネリを 感じたら 取り入れたいこと」より

ーー“好き”を仕事にできた、いちばんの理由は何だと思いますか?

好きなものを「好きだ」と口に出すこと。言霊(ことだま)ってあると思うんです。例えば、「バイヤーになりたいんです!」といろんな人に伝えることで、誰かがチャンスを運んできてくれるとういうか、物事を引き寄せてくれるということを、今までの経験からたくさん学びました。

ーー最後に、次の目標は?

近い将来ではないけれど、お客様をきれいにしたいとか、喜ばせたいとか、アパレルショップの原点に触れる、そんなお店をいつか持ちたいですね。

長尾悦美(ながお・よしみ) 髙島屋「スタイル&エディット」バイヤー

北海道出身。札幌での販売経験を経て、バイヤーへ転身。幼い頃からそばにあったという古着、ヴィンテージをこよなく愛する“服偏愛者”。フォロワー数19.7千人を超えるインスタグラムは、私服はもちろん、海外出張先のコレクションや展示会の様子など、世界のおしゃれ情報が満載。

はっと目を引くセリーヌのパンツ、リネンシャツはヴィンテージ。じゃらづけしたアクセサリーにナーズの赤リップ、真っ直ぐに切りそろえられた短い前髪。似合うものを知り尽くした圧倒的なオーラに、お会いした瞬間、心を奪われました。それは、18年という長い歳月をかけ、「服」と真剣に向き合ってきたからこそまとえるモノ。何か一つのことを追求し続けることの大切さを教えてもらいました。

撮影/田中祐介

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HOLICS編集部

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