教えてアドラー♡恋のお悩み “つい彼に怒ってしまう”を変える勇気

LOVE 2018.8.16

アドラー心理学研究の第一人者で、大ベストセラーとなった『嫌われる勇気』の著者でもある哲学者・岸見一郎先生が恋愛論をまとめた著書『愛とためらいの哲学』。それをもとに、恋のお悩みに回答するシリーズ4回目は、「つい彼にキレてしまって恋がうまくいかない」というもの。そこでアドラーの説く“怒り”について解説していただきました。その真相を知れば、きっと「二度と怒るまい」と決心するはず!?

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Q.つい彼に怒ってしまい、険悪な雰囲気に……

彼がとにかく優柔不断。待ち合わせ時間、どのお店に入るか、何を買うか……、何かを決める場面になるといつも、「えっと……」とオロオロし始めます。私はせっかちなところがあるので、つい「いい加減にしてよ!」とキレてしまいます。すると彼はオドオドして私のご機嫌をうかがってくるので、それにまたイライラ。こうしてデートは、毎回険悪な空気になってしまいます。でも私だって本当は彼との時間を楽しみたい。どうしたら彼にイライラしなくなるのでしょう?(29歳・公務員)

アドラーの言葉:「怒りは人を離す感情である」

出典: gettyimages

怒り――。アドラーはその感情に対して、「ディスジャンクション」という単語を使っています。それは、「人と人を引き離す感情」である、と、岸見先生は言います。

「𠮟られることもそうですが、人から怒りを向けられると、相手との心理的な距離は遠くなります。だから私は企業研修でも『𠮟らない』ということを伝えています。𠮟られた部下は、𠮟った上司との関係を遠く感じるようになってしまいますから。子育ても同様です。子どもにはいろいろなことを教えなければいけませんが、関係が遠いと、言っていることが正論であるほど受け入れてもらえなくなる。なのに多くの親は、子どもを𠮟って関係を遠くしたうえで何かを教えようとしているのです」(哲学者 岸見一郎先生)

つまり、「ケンカするほど仲がいい」は、アドラー心理学においてはあり得ないということ。彼と仲良くなろうと思ったら、むしろ絶対にケンカをしてはいけないのです。

「もちろん一緒にいる中で、彼に対する不満は生まれるでしょう。でもそのとき感情を使う必要はまったくなくて、ただ言葉で主張をすればいいのです。よく人は『ついカッとして』という言い方をしますよね。その言い方をすれば、『私は本当はいい人なのだけど、ついカッとしてしまった』と感情のせいにできるので、都合がいいから。でもアドラーは、“つい”ではなく“ある目的”のために感情を使った、と考えます。その“ある目的”とは何かというと、“相手を自分の思い通りにしたい”というものです」(哲学者 岸見一郎先生)

出典: gettyimages

実際、怒りという感情を使えば相手は怖いから従います。でもそれは支配しただけであって、相手は納得はしていません。だから結局また同じ問題を繰り返すのだ、と岸見先生は指摘します。

「たとえば親は、子どもが何度注意しても言うことを聞かないと、『もっと𠮟ればきっとこの子は改心するだろう』という希望を持ちます。そうしていつまでも𠮟り続けるのです。でも𠮟っても𠮟っても変わらないということは、叱る量が足りないからではなく、叱るというやり方そのものに問題があると考えたほうが論理的です」(哲学者 岸見一郎先生)

つまり、優柔不断な彼にいくらキレても根本解決には至らないということ。ではどうしたら、怒りという感情を使わずに彼との関係を改善させられるのでしょう?

出典: gettyimages

「たとえば子どもとスーパーに行くと、子どもはオモチャやお菓子売り場の前で『買って!』と泣き叫びます。親はダメだと言うけれど、結局面倒になって要求に屈してしまう。その結果子どもは、泣いたり怒ったりという感情を使うと親は言うことを聞く、と学んでしまうのです。アドラーも『涙はウォーターパワーだ』と言っていますが、女性にもここぞというときに泣かれると、男はオロオロして要求に従ってしまいます。でも本当は親も男も、こう言うべきなのです。『そんなに泣かなくてもいいから、言葉でお願いしてくれませんか?』と。彼の優柔不断さが嫌なら嫌だと言ってもいいけれど、感情的になる必要はまったくありません。どうしてほしいか言葉できちんと伝えればいいだけ。問題がないカップルはいないけれど、問題が起こったときに感情ではなく言葉で解決する術を身につけているカップルは、簡単なことではビクともしないでしょう」(哲学者 岸見一郎先生)

A. 感情的にならず、言葉できちんと伝えること

多くの人は、これまで親や友達との関係でも“怒りを使う”ということを当たり前におこなってきています。そのため、恋愛関係においてもつい同じことをしてしまいがち。でも彼と真の関係を築きたいのなら、感情ではなく言葉を使う。このことを忘れないようにしたいものです。

岸見一郎 哲学者

1956年生まれ。京都府出身。京都大学大学院博士課程満期退学。専門の哲学と並行して、1989年からアドラー心理学の研究を始める。2013年に『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)を刊行すると一躍話題に。完結篇『幸せになる勇気』とあわせた“勇気”シリーズは、現在230万部のベストセラーとなっている。他に、初の恋愛論を綴った『愛とためらいの哲学』(PHP新書)など。

『愛とためらいの哲学』929円 PHP新書 
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HOLICS編集部

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