「木彫り熊」のルーツはスイスにあった!?くまを巡るスイス旅

LIFESTYLE 2018.12.13

アーティストの宇多田ヒカルさん、歌舞伎役者の中村橋之助さんなど“くまホリックス”がどんどん増えている昨今。なかでも、おしゃれな人たちを中心に人気沸騰中なのが「木彫り熊」です。今回は、日本の木彫り熊のルーツと言われるスイスを巡る旅をしました。

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おしゃれな人たちが夢中♡木彫り熊の魅力を徹底解剖

アーティストの宇多田ヒカルさん、歌舞伎役者の中村橋之助さんなどが“くま愛”を公言することもあり、最近、注目度を高めている“くま”。その中で、ファッション関係の人たちが熱視線を注ぐのが「木彫り熊」です。木彫り熊を愛する人たちには、数多くの雑誌でも活躍するブランディングディレクター福田春美さんやスタイリストの金子夏子さんなども名を連ねています。日本の木彫り熊といえば北海道を思い浮かべますが、そのルーツは実はスイスにあるんです。その歴史的な背景から、“木彫り熊愛”が積もり積もって、ついにはスイスまで足を運んでしまった私・ライターいなもあきこが、その魅力を徹底解剖いたします。

北海道・八雲町で生まれた木彫り熊は、愛嬌たっぷりでキュート!

木彫り熊と聞いて、何を思い浮かべますか? 「ああ、あのシャケをくわえているやつね」そう、それが、これまでの一般的な木彫り熊のイメージです。昔は日本全国津々浦々、どの家にも1体はあったけれど、時代とともに「じゃま者」扱いされることが増えてしまった、悲しい過去の遺物。でも、実は、木彫り熊はそれだけじゃないんです。

北海道・八雲町で昭和初期に作られた木彫り熊。スイスのくまによく似てる!

ちょこんと座ってこちらを見上げるくま、人間のように魚を担いで歩くくまなどなど。これらは「擬人化」された木彫り熊で、凶暴さとは無縁のキュートな表情がたまりません。ほかにも、スキーをするくま、学校で授業を受けるくま、バットを構えるくまなども。普段あまり目にすることがないこれらの希少なくまは、北海道の中でも「八雲町」で生まれたもの。しかも、その誕生は大正末期に遡ります。

八雲町は、函館のある道南の北部、細くくびれた場所に位置する小さな町。日本で唯一、太平洋と日本海、2つの海に面した町です。ここはもともと、明治時代初期、廃藩とともに職を失った旧尾張藩(現在の愛知県西部を中心とするエリア)の藩士たちのために、旧藩主だった尾張徳川家が北海道に土地を求め、開拓した場所でした。明治期にはたくさんの人々が八雲に移住し、多くは農民として新しい暮らしを始めます。

こちらも八雲町で昭和初期に作られた「木彫り熊」。座り込んだり、魚を背中に背負ったり。「擬人化くま」はスイスから伝わり、八雲町でも多く彫られた

けれど、北海道の寒さ厳しい過酷な自然のもとでは、農作物を安定的に育てることがとても難しく、また乱高下する景気や次々と起こる戦争などで、人々はいつも貧しさに苦しんでいました。たびたび北海道を訪れ、そんな人々の困窮ぶりをよく知っていた尾張徳川家第19代当主、徳川義親は、彼らの生活を少しでも楽にして、幸せな暮らしを送らせる手だてはないかと模索。

そんな折、大正10年から11年にかけて旅したヨーロッパで、解決の糸口を発見します。それが、なんと、スイスで出合った木彫り熊だったのです! 義親はスイスで購入した木彫り熊を日本に持ち帰って八雲の町民たちに示し、冬の農閑期に楽しみながら制作し、販売して現金収入にもなる土産物産業を提案。こうして大正13年、ついに八雲で木彫り熊第1号が生まれました。

八雲町では表現がどんどん進化し、戦後になるといっそう芸術的な木彫り熊が登場。写真は八雲の代表的な作家、柴崎重行(左)と根本勲(右)の作品。

当初はスイスのものを模したくまが中心でしたが、時代を経るにつれてさらに個性的で自由な姿の木彫り熊が登場します。一見すると木の塊のような存在感あふれるくま、祈るように頭を下げ自らを抱きしめるくま、幾何学的でシャープなラインが美しいくまなど。これらは木彫り熊という範疇にとどまらず、もはや芸術作品といっていい出来栄えです。

ほかにも、魅力的な木彫り熊をご覧になりたい方は、こちらをチェック!
八雲町木彫り熊資料館
東京903会

スイスと日本のくまを巡る、時を超えたロマンチックかつ壮大な旅に

ハイジの気分に浸れる、スイス、ブリエンツの登山鉄道
ブリエンツ・ロートホルン鉄道の車窓からの眺め。眼下にヒスイ色のブリエンツ湖が!
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HOLICS編集部

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