『レシピのいらない和食の本』は、行正さんが考えた“簡単ルール”を覚えておけば、レシピを見る必要もなく、おいしい和食が作れるようになる本です。今回ご紹介するのは、天ぷらをはじめとして海外でも人気の高い和食の揚げ物。家でも気軽に作りたい、かき揚げ、とんカツ、鶏のから揚げをおいしく「揚げる」簡単ルールです。
揚げものを上手に揚げるには、いくつかポイントがあります。まずは慌てないこと。引き上げたあとにベチョッとしているな、と感じたら、油に戻して温度を上げ、カラリとするまで待ちましょう。次に大切なのは、あまり「いじらないこと」。子育てと同じで、じっくり待つこと、ある程度放置することでおいしい揚げ物ができ上がります。
天ぷらやフライなど揚げ物をするときに役に立つ、油の温度の簡単な見極め方を覚えておきましょう。衣を少し落としてみて、鍋底からすぐに上がってきたら170度、勢いよく上がってきたら180度、パチパチ気泡がたったら190度、が目安です。天ぷらは泡立つ「音」をよく聞いていると、揚げるタイミングがすぐわかります。音が高くなったら揚げどきです。
「濃いめ・薄づけ」は、おいしいかき揚げを作るための衣のルール。まず、野菜の水分はきちんとふき取り、片栗粉少々をからめます。冷たい炭酸水で通常の天ぷらより「濃いめ」に溶いた衣を、「薄め」につけて、170度の中温でいじらずにじっくり揚げてみてください。これさえ守れば驚くほど簡単! きれいな円形に揚がらないという場合は、穴あきレードルごと油に入れる方法がおすすめ。周囲に少し火が通ってきたあとでレードルを引き上げればOKです。
【材料(2人分)】
玉ねぎ 1⁄2個
にんじん 7cm
むきえび 70g
・衣
天ぷら粉 カップ1/2
炭酸水(冷たいもの) カップ1/3
片栗粉 大さじ2
揚げ油 カップ1程度
粗塩、レモン 各適宜
1 玉ねぎは繊維に沿って薄切りに、にんじんは細切りにする。キッチンペーパーで水けをふいてボウルに入れ、えびを加えて片栗粉を薄くまぶす。
2 小さめのフライパンに油を3〜4cm深さに入れ、170度に熱する。
3 天ぷら粉と炭酸水を合わせ、粉を溶く。1に加え、混ぜ合わせる。
4 3の1/2量を穴あきレードルですくって余分な衣を落とし、レードルごと油にそっと入れる。菜箸で材料を滑らせるようにして油に放す。残りも同様にして油に入れる。1分ほどしたら返し、さらに1〜2分揚げる。油をよくきって引き上げる。
5 器に盛り、好みで粗塩とレモンを添える。
とんカツ、ハムカツなど「カツレツ」は、フランス料理の「コートレット」のアレンジだといわれていますが、今や日本のカツレツはコートレットとは別もの。海外でPANKOとして売られているものは、日本のものとまったく違うため、同じ素材、同じ手順で作っても日本のカツレツのようなサクサクっとした食感に仕上がらないのだとか。世界に誇る日本料理「カツレツ」をおいしく作るルールは2つ。揚げるときの「油の温度」と素材に合わせて選ぶ「パン粉」です。
カツレツにも、とんカツ、チキンカツ、レバカツなどいろいろありますが、食材に塩、こしょうをして、衣をつけて揚げるというのが基本。上手に作る一番の決め手は、何といっても揚げる温度です。とんカツ、チキンカツなど、肉に厚みのあるもの、火をギリギリまで通したいものは、160度の低温からじっくり揚げていきます。一方、加工食材や牛肉のようにレアな部分を残したいときは180度以上でさっと揚げます。牛カツなどは200度近くの高温で1分が目安です。
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