好きを仕事につなげたひと

ビヨンドザリーフ・楠さんが義母の編み物を洗練バッグにするまで

SPECIAL 2017.7.31

「好き!」の熱量には説得力があり、「好き!」の裏側には、その人なりのストーリーがあります。そんな“好き”を仕事にしている人々をインタビューしていくシリーズ“好きを仕事につなげたひと”。今回ご登場いただいたのは、おしゃれ女子から大人気のバッグブランド「ビヨンドザリーフ」の楠佳英さん。“ファッション”と“人”が大好きな楠さんが、そのふたつを仕事としてどう融合させて行ったのか、お話を伺いました。

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人気急上昇のクラッチバッグ。編み手はおばあちゃん

最近、ファッション誌でも目にすることの多い「ビヨンドザリーフ」のバッグ。そんなおしゃれ女子に人気のバッグは、実はすべておばあちゃんやお母さんたちの手で作られていました。いわゆる『おばあちゃんの編み物』のイメージとは違って、とても洗練されていておしゃれなこのブランドの生みの親は、女性ファッション誌のライターとして長年活躍し、小さい頃からファッションが大好だったという楠佳英さん。そもそもなぜ、おばあちゃんたちと一緒にバッグを作ろうと思ったのか、そして自分の大好きなファッションというものとどうやって親和させ、仕事につなげてきたのか、お話を伺いました。

ブランドを立ち上げようと思ったきっかけは義理の母なんです。

ーー最近、いろいろな雑誌で「ビヨンドザリーフ」のバッグを目にしますが、ブランドを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。

きっかけは義理の母だったんです。義理の母は専業主婦だったのですが、子供が独立し、大好きなお父さんが亡くなったとき、すっかり元気がなくなってしまったんです。家族の面倒を見ることが生きがいだった人が何もすべきことがなくなってしまって。それで、何か義母のためにできることがないかなと、考え始めたことがきっかけです。

ーーそこから、編み物でバッグを作るということになった経緯は何だったのでしょうか?

義理の母がよく編み物をしていたんですね。その出来が本当に素晴らしくて、こんなに高度な技術があるんだったら、仕事にできたらいいんじゃないかなと思ったんです。それで、義母に編目のサンプルや毛糸を預けて、「こういうの作ってくれない?」って持ちかけたら喜んで引き受けてくれて、すごく可愛いバッグを作ってくれました。そのときに、編み物であれば、一人暮らしをしている他のおばあちゃんにもお仕事の機会を提供できるかもしれないと。

ーー洋服などではなくバッグにした理由は何かあったんでしょうか?

最初はお店をもたず、通販でスタートしようというのは決めていまして、バッグだったらサイズ感が分かっていればそんなにイメージと変わらなくてよいかな思いました。あとは私もファッションが大好きなので、女性はバッグいくらでも欲しいよねって(笑)。

ビヨンドザリーフ立ち上げ当初は家族3人でやっていました。

ーー最初は何人ぐらいでスタートされたんですか?

義母がバッグを作って、義理の妹がwebサイトを担当して、私が売るという形で当初は3人でやっていました。編み手をしてくださる一人暮らしのおばあちゃんを探そうと思ったんですが、外で歩いていて見つけられるわけもなく(笑)。必死で探していたときに、NPO法人「五つのパン」が運営するコミュニティカフェ「いのちの木」の高齢者編み物サークルの記事を新聞で見つけて、「母とこういうバッグを作っているんですが、一緒に作っていただけませんか?」と相談に行ったら、おばあちゃん3人が参加してくれることになりました。そこから地域のおばあちゃん方にも広まって、「入りたいです」と言ってきてくれる方が増えていきました。

ーー最初に「いのちの木」の方にお話をされに行ったときはスムーズに進んだんですか?

その頃は私もまだライターの仕事をメインにやっていたこともあって、あちらは何だかよく分からない人が来たなって感じだったかもしれません。でも、まずは一緒にやってみましょうと言っていただき、試行錯誤しながら進めていきました。

ーー実際進めていくなかで、楠さんがイメージしていたものと、おばあちゃんたちが作ったものにギャップはなかったのでしょうか?

おばあちゃんたちの技術が思った以上に高くて、何十年も編み物をしてきているから編み図を見てサッとできるんです。なので、ギャップというよりも、サイズ合わせの方が苦労しましたね。編む強さが人ぞれぞれ違うために微妙にサイズ感が変わってしまいまして。手編みは属人的になりがちなので、規定に合わせて作るというのはなかなかのハードルでした。それぞれのバッグでムラが出ないよう苦労しましたし、初めの方は編み直しが半分くらいありました。

ーー楠さんご自身は編み物はされるんですか?

実はしないんです(笑)。編み物ができると、「この編み方は大変だから」などと妥協が入ってしまっても良くないので、完全にお客様の代表として見るようにしています。編む大変さよりも可愛い事の方が絶対なので。

ーーデザインはどのようにやられているんですか?

デッサンを描くこと、編みパターンを繋げてイメージを出すこと、それは私がやっています。あとはインストラクターがいるので、どの毛糸がイメージに近いかなど話し合って、あまりマニアックにならないよう、お客様に可愛く持ってもらえるものを心がけて作っています。

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HOLICS編集部

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