好きを仕事につなげたひと

アートディレクター・加藤圭織さん “好き”が増えていく仕事術

SPECIAL 2018.11.30

熊本県公式キャラクター『くまモン』や『相鉄グループ』『中川政七商店』など、名だたる企業のロゴや商品パッケージなどのデザインを手がけている『good design company』。そこでアートディレクターとして勤務する加藤圭織さん(32歳)は、昨年開催された『Tokyo Midtown Award 2017』で応募総数1162点の中からグランプリを受賞、現在も幅広く活躍する注目のクリエイターです。そんな彼女が、仕事をする上で大切にしていることを聞きました。

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「相手のいいところを引き出したい!」 を実現できるのがデザイナー

今年20周年を迎えた『good design company』の展覧会ポスター前にて

「デザインで世の中を良くする」ことを目指し、熊本県公式キャラクター『くまモン』や『相鉄グループ』『中川政七商店』など、数多くの人気デザインを生み出してきたことで知られる『good design company』(gdc)。アートディレクターの加藤圭織さん(32歳)は、そのgdcで、名だたる企業のロゴや商品パッケージなどのデザインを担当。クリエイターとして活躍する加藤さんは、デザイナーという仕事を「“好き”が増えていく職業」と言います。その真意とは?

大学時代は似顔絵師に憧れたこともあった

ーーデザイナーという仕事に就こうと思ったきっかけは何だったんですか?

もともと絵を描くのが好きで、子供の頃から地元の絵画教室に通っていたんです。それでイラストレーターになりたいと思い、大学はグラフィックデザイン科に進んだのですが、そこである先生から「君はイラストレーターではなくデザイナーに向いている」と言われて。私はとにかく絵を描いて人に喜んでもらえるのが嬉しかったのですが、それは相手の魅力を引き出して形にする、“デザイナー”という仕事に通ずるものだと知りました。

ーーイラストレーターもデザイナーも、目指した根底は「相手の魅力を引き出したい」という思いだったんですね。

そうですね、だから一時は、似顔絵師になろうかなと思ったこともありました。

ーー似顔絵師ですか!?

大学時代、似顔絵を描くアルバイトをしたことがあって。似顔絵って対象者の顔の特徴を見つけてデフォルメして強調する、という表現なんです。でも、当時はそこまでわかっていなくて、ただ相手を笑わせていい表情を引き出して、それを描いて渡したら喜んでもらえる、その一連の流れが体験できることが好きだったんです。1日ぶっ続けで8時間描いて、腱鞘炎になってお箸を持てなくなったこともありました(笑)。

ーー実際にデザイナーの仕事を始められていかがでしたか?

デザイナーになったのは10年前ですが、実際に自分から仕事を作っていったり提案したり、クライアントさんと協働する、というような仕事の仕方を始めたのは、3年前にgdcに転職してからなんです。前職では、広告代理店から言われた、クライアントの要望通りのものを作るということがほとんどだったので、クライアントとの距離の遠さや壁の多さに疑問が残ることはありました。とはいえここで、「クライアントが何を求めているか読み取る」、「相手の頭にあるイメージを忠実に素早く具現化する」といったデザイナーとしての基礎を徹底的に叩き込んでもらえたので、本当に感謝しています。

デザイン、色etc. 合計100回以上は検証を重ねます

ーー今は、ゼロからすべて案を考えるのですか?

仕事によってさまざまです。たとえば「こういうイメージのロゴを作ってください」と言われたとき、もちろん、まずはその希望に沿ったものも作った上で、gdcはそこで終わりません。根本的な課題を見つけて「こういう方向性の方がいいですよ」と別の案を伝えたり、「ロゴ以外にもこういうものも作ったらいいんじゃないか」「新聞広告よりInstagramを充実させた方がいいのでは」と提案したり、ということを普段からやっています。

ーーたとえばどのような……?

私がgdcに入社してすぐに担当させていただいた『薫玉堂』のお仕事は、まずロゴを作ってほしいという依頼がありました。『薫玉堂』は400年もの歴史ある日本最古の御香調進所。ロゴとともに、老舗感のある和のラインと、少し現代っぽさを取り入れた洋のラインと両方展開していく商品構成を提案差し上げて、その上で商品パッケージのデザイン案を出していきました。先方はカラフルな色展開などに最初は驚いてらっしゃいましたが、いまはとっても気に入ってくださっています。明治時代使用していたものを復活した伝統感のあるロゴと、革新的なパッケージが違和感なく融合していて、好評をいただいています。

「薫玉堂」のショッピングバッグ

gdcに入社した一年目に担当した「薫玉堂」のショッピングバッグ。新しさを取り入れつつも400年の老舗感を残したデザインは、大好評を得た。

「薫玉堂」のお香のパッケージ

加藤さんが担当した「薫玉堂」のお香のパッケージ。歴史と品格を出すために和紙のようなザラつきのある紙を選び、そこに和紙風テクスチャと色を乗せた。色検証は、100回近くおこなったそう!

ーーお仕事をされるうえでの加藤さんの一番のこだわりは何ですか?

デザイン検証、色検証と言うのですが、商品を作るにあたっては、デザインや色をそれぞれ30パターンとか作って、どれがそのものらしさを表現できているか、何回も検証するんです。合計すると、検証回数は優に100は超えていると思います。たとえばまずは何十という案の中からロゴマークを決定して、今度はそのロゴを載せるパッケージのデザインをまた何十と提案して決定して、さらにパッケージの色とか素材の組み合わせを何十と検証して……。それを繰り返していくと、最終的にすごい検証回数になります。もちろん時間をかければいいものができるというわけではないのですが、しっかり検証を重ねて選ぶという作業を繰り返すとそれだけ“イメージ通りのものを具現化する”という点において精度は高くなります。

あえて30分、1時間と短く区切って仕事をする

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HOLICS編集部

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