好きを仕事につなげたひと

インスタ漫画が話題!元会社員・岡山里香さんのユニークな転身術

SPECIAL HOLICS編集部 2019.3.22

自身の経験をもとに描いた恋愛コミックエッセイ「#イタ恋」をインスタグラムで発信。現在12万人のフォロワーを集める岡山里香さんは、今最も注目を浴びる漫画家であり、経営者でもあります。30代半ばで漫画家としてのキャリアをスタートし、ものの1年強で2冊の本を出版するまでに至ったその経緯とは? 会社員を経て起業。それから漫画家になるまでにさまざまな仕事を経験してきた岡山さんならではの仕事論に迫ります。

ーーそんな絶好調の中、なぜ漫画家の道へ?

ミニチュア写真家の田中達也さんとの出会いが大きかったですね。すごくおもしろい発想の持ち主で、あるとき、とある商品PRの仕事をしたときにご一緒したんです。今でこそインスタグラムのフォロワー194万人を持つ田中さんですが、当時は50万人ほどだったかな。「迷走気味だったはじめの頃の投稿は消さない。あえて変遷を残してある」とおっしゃっていて。自分の作品を何年もかけて投稿し続けてきた田中さんの話を聞いて、改めてSNSが持つ可能性を実感したんです。

そんなとき、冒頭で触れた通り、妹の「お姉ちゃん、そろそろ本当にやりたいことしたら?」という後押しもあって、インスタグラムで漫画を投稿しはじめました。

ーーはじめから恋愛漫画を?

それが違うんですよ。描くなら、まずは自分が経験したことを......と思って、器用貧乏な私がプロデューサーになるまでのことや、学生時代の就職活動のことなどを描いていたんです。インスタグラムをはじめて1ヶ月くらいのフォロワー数は60人、2ヶ月で2万人くらいになった頃あたりから、出版社さんからお声がけいただくようになったんです。そんな中、ある編集担当の方に「ビジネスより恋愛ものの方がいいですよ」とアドバイスをいただき、恋愛ネタにシフト。それからものの1ヶ月で7万人くらいまで一気にフォロワーが増えたんです。

ーー恋愛ネタはみんな好きだということですね。

私の漫画にはイタイ男がたくさん登場するのですが、結局みんなイタイ男が好きというか。共感してもらえたんだと思います。それから半年くらいして自分の経験をもとに「#イタ恋」をスタートさせました。

ーー「#イタ恋」は、おもしろいのはもちろんなのですが、テンポが良くてすごく読みやすいです。なにか戦略的に構成を考えている?

そうですね。ただ書きたいことだけを描いているだけではありません。どう見せるか、連載なので、どのシーンで区切るかなどといった構成はかなり考えていますね。ストーリーは、発端、葛藤、解決の、3つの展開で見せる三幕構成にしてあるのと、大事なセリフの前には“間”を挟み、ストーリーに緩急をつけたり。

あと、私は絵が上手くないのですが、例えば、手の角度が変だったり、線がガタガタだったり、読み手に不快感を与えないようには気をつけるようにしています。

ーー展開や構成を意識して描くのは、なかなか難しそうですね。

そうですね。でも、ある意味、パズルに当てはめるようで楽しいです。例えば「今回の“葛藤”はどこだっけ?」と、“葛藤”をつけ忘れたとしてもきちんと気付ける。自分で自分のミスを拭える。あと、反響が悪かったときも原因を追求しやすいし、その指標にもなって便利です。

寝る時間がないことよりも、時間はあるのにやりたいことがやれていない方が辛い

本屋で購入したタロットカード。「相談ごとや悩みなど話を聞くツールとして使っています。タロットカードを使うと、心のうちを話してくれやすいんです」

ーーインスタグラムをはじめてたったの1年強で出版に至ったわけですが、はじめから手応えのようなものは感じていた?

もともと出版するつもりでスタートさせたので、狙い通りといえばそうですね。1〜2ヶ月でフォロワー10万人いくと思っていたのですが、実際は半年かかったので、ペースとしてはむしろ遅かったくらいです。

ーー3月27日に発売される「オトナの決断力」は、どんな内容なのでしょう?

インスタ漫画をはじめて1年強で書籍化と聞くと、何でもスムーズに欲しいものを手にしてきたように思われがちですが、本当はその逆。道に迷ったり、決断ミスばかりで、思い通りにいかずに長い間ずっと心はカサカサな状態でした。そんな自分を何とかしたいと思い、大きな成功や幸せを手にする人をじっくり観察してみた結果、私なりに導き出した答えが「決断力」でした。ずいぶん遠回りをして発見した納得のいく人生を歩むための考え方を一冊にまとめました。

ーー多くのメディアで連載を抱えながら、2冊の書籍制作は大変だったのでは?

寝る時間がなくて辛いというのはありますが、楽しいことなので苦痛ではないです。逆に、時間はあるのにやりたいことがやれていないよりは、全然マシだと思います。

ーー次の目標はありますか?

今いるフォロワーさんにもっと楽しんでもらえるよう、じっくりストーリーを練って、良いコンテンツを考えていきたいと思っています。そのためには、短時間で高いクオリティーを担保できるような実力を身につけることに注力したいです。あとは、書籍の次はドラマ化できたらうれしいです。テレビのプロデューサー経験をいかして、もっと活動の幅を広げていきたいですね。

左・「イタイ恋して何が悪い!?」(ぴあ刊)¥1058 右・「オトナの決断力」(KADOKAWA刊)¥1404。

岡山里香(おかやま・りか) 漫画家

早稲田大学卒業後、会社員を経てヘアメイク事務所を設立。その後、WEB、TV、イベントなどの企画プロデュース会社として事業を広げる中、SNSの可能性に着目し、インスタグラムで漫画を描き始める。自身の恋愛経験を描いた「#イタ恋」で火がつき注目を浴びる。インスタグラムのフォロワー数は12万超え。著書に「イタイ恋して何が悪い!?」(ぴあ刊)、「オトナの決断力」(KADOKAWA刊)など。

HOLICS「男のオモテウラ図鑑」だけじゃなく、with online「#日照りモテ子」、VOCE web「それゆけ!美人道」など、一読者として岡山さんの連載はひと通りチェックしていた編集O。念願の初対面にドキドキしながら挑んだインタビューでは、岡山さんのキレのよいトークで最初から最後までずっと笑わせられっぱなし! 漫画家としてデビューして1年強。私たちが知る岡山さんのクリエイティビティは、まだまだほんの一部。今後の活動が楽しみでなりません!

撮影/岡田こずえ

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