好きを仕事につなげたひと

デザイナー・チヨノアンさんがランジェリー作りにかける情熱とは?

SPECIAL 2017.9.20

「女性の体はみんな違うものだから、ランジェリーに体を合わせるのでなく、その人その人にあわせて無理のないランジェリーを作る」ことを提案するビスポーク(カスタムメード)ランジェリーのデザイナー・チヨノアン(Chiyono Anne)さん。今回はそんなチヨノアンさんに、どのように“好き”を仕事にしてきたのかお伺いしました。

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身につけたときも物としても美しいランジェリーを作りたかったんです

東京で生まれ、20年近くをニューヨークとロンドンで過ごしたチヨノアン(Chiyono Anne)さん。東京の閑静な住宅街にあるアトリエは、まるでどこか外国のアパートメントの屋根裏部屋にいるような気分になる温かい場所でした。ひとつのランジェリーを作るために、実際に着る人と1時間以上は会話をするというチヨノアンさんの言葉には、女性のコンプレックスや強がりみたいなものを「その人らしさ」に変えてしまう不思議なパワーと優しさがあります。そんなチヨノアンさんが、ビスポーク(カスタムメード)ランジェリーのデザイナーになるまでの経緯や、仕事論についてお聞きしました。

女性のパワーみたいなものへ直結しているランジェリーに惹かれました

ーー東京で生まれて、ニューヨークとロンドンで長年過ごされたんですよね?

そうです。父がニューヨーク出身のアメリカ人で、母が日本人なので。小学校まで日本にいて、その後20年間は海外にいました。ロンドンが一番長くて、あちらの大学在学中に留学のため、1年間日本に来ました。

ーーなぜ留学先に日本を選ばれたんですか?

日本語のコースだったからです(笑)。その後、留学が終わってまたロンドンに戻ったんですが、大学院に行く前に日本で仕事をしてみたいと思い、もう一度日本に来たんです。

英語の先生やアーティストのパーソナルアシスタントをしながら、自分でランジェリーのブランドやりたいって決めてたので、文化服装学院にも通っていました。

ーーそのときからランジェリーのブランドを立ち上げたいと思っていたんですね。何かきっかけみたいなことってあったんでしょうか?

19歳で日本に留学したときに、気持ちは固まっていたと思います。特別なきっかけがあったというよりは、自分の中でやってみたいこと、好きなことが3つ4つあって、それが全部ランジェリーに集約されたから、私はこれをするべきなんだと思って。

ーーもともと、ランジェリーやファッションはお好きだったんですか?

実はファッションにはそんなに興味がないんです。もちろんランジェリーも着るものなので、ファッションでもあるのですが、もっとフェミニズムというか、女性のパワーみたいなものへ直結していることに興味があったんです。ファッションとは違う、外からは見えないところで自分らしさを出す感じというか。

あとは、デザイナーになる前から絵を描くことが好きで、油絵のアーティストになりたかった時期があって。絵を描いている中で、ランジェリーも身に付けてるときはもちろんだけど、置いてある状態として美しいものが素敵だなと考えていたんです。ウェアラブルアートというか、ちゃんと物としても美しいランジェリーを作ってみたいと思っていました。

ランジェリーの場合は柔軟性のあるビスポーク(カスタムメード)であることが大切

ーーランジェリーデザイナーをやろうと決めたときから、「ビスポーク」(カスタムメード)で、と考えていましたか?

そうですね。ビスポークというか、アートランジェリーというものを作りたいなと思っていました。

ーーファッション関係の大学院に通っていたんですか?

普通の大学院です。ただ、世界にそこだけ、ボディウエアっていう修士号のコースがあって。

同じ時期に、ロンドン中心部のサヴィル・ロウ(SAVILE ROW)というストリートにあるテイラーハウスで勉強を兼ねてお仕事もさせてもらっていたんです。そこでビスポークの流れやノウハウについて学んだのですが、メンズのスーツを主に扱っていたために、伝統的な手順に沿って、正しいシルエットとか寸法が全部決まっていたんですね。でも、女性のランジェリーの場合は、決まったシルエットや寸法というのではなく、もっと柔軟性を持つことが大切かなと思い、いまのビスポークランジェリーというところに行き着きました。

ランジェリーは自分の身体に一番近いものだからこそ、素直に身につけたいものを着て欲しい

ーーランジェリーって女性にとってどういうものだと思いますか?

ランジェリーは外からは見えないので、女性はこうあるべきっていう型に自分をあてはめることなく着ていられるものだと思います。自己表現っていうのか、なりたい自分のために着るものではないかなと。

ーー外から見えない分、着たいものをトライしやすいですもんね。

そうなんです。可愛いとか、セクシーとかっていうキーワードってランジェリーにありがちなんですけど、身体の形がこうであったらセクシーっていう方程式はないので。一番最初に着て一番最後に脱ぐ、自分の身体にもっとも近いものだから、着る人がその人らしく、その日に身に付けたいものを着て欲しいなと思うんです。

それに頑張って人に見せる為に着るんじゃなくて、こっそり着るものだからこそ、ランジェリーにこだわることは本当におしゃれなんだとも思います。

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HOLICS編集部

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