好きを仕事につなげたひと

現代アーティスト・小松美羽さん流“自分の役割”の見つけ方

SPECIAL HOLICS編集部 2018.5.25

今や世界を舞台に活躍する現代アーティスト・小松美羽さん(33歳)。その作品からみなぎる生命力は、一度見たら忘れられない“何か”を、私たちの心の奥深くに残します。眼に見えない大切なものを信じ、描き続け、アーティストとして“好き”を貫き通す小松美羽さんの生き方がここに。

――ご自身の作品がより多くの人の目に触れるチャンスを得たいから、世界の第一線のアート市場を目指しているんですね。

「世界」というと地球全体というイメージかもしれませんが、私が思う「世界」には、「宇宙」まで入っています。守備範囲は広めにとったほうがいいと思うので、ならば、「地球」を飛び出して「宇宙」までいってしまえ、と。もう銀河系の先まで、という感じです(笑)。

――すごい……。スケールが大きすぎます!

実はね、子どもの頃から不思議な世界を身近に感じていた私でも、今のほうが神獣の姿がよく見えるんですよ。それは大人になるほど純粋になって、魂が成長したからだと思うんです。キリストもブッダも、大人になってから洗礼を受けたり出家したりして、深まっていきますよね。私が行っている瞑想もその方法の一つで、聖なるもの、見えない世界とのつながりに思いを馳せれば馳せるほど、「魂が成長する」感覚が確かにあります。

自分が魂を込めた作品をつくると、見えない世界からやってきた魂がそこに宿り、初めて作品が輝きだします。そうして、人とつながる力を持つんです。しかも、戦争や侵略の時代を経ても、衣食住とともになくならなかったアートには、“魂の薬”としての役割があると思う。絵で誰かの心を癒し、救う……それも私の大切な役割だと感じています。

――自分の役割……これまで真剣に考えたことがありませんでした。最後に、私たち自身が自分の役割を見つけるためのアドバイスをお聞かせください。

役割は常に進化していくものだし、一つだけではないんですよね。そもそも役割って、他者とのつながりがないと気づけないし、果たすこともできないんです。自分で設定するものでもない気がするので。今いる場所に自分の役割がないと思えば、役割をくれる人を探しにいってもいいかもしれませんよ。私自身、これまでの道のりを振り返ってみて、たくさんの人と出会い、つながってきたことがすごくよかったなと思っていますから。

ただね、人と関っていると、イラッとすることもあるんですよね(笑)。

――日々、魂の成長を目指している小松さんでも、あるんですね!

正直、あります(笑)。批判的なことを言われたら傷つくし、たとえば電車の中で「もしもーし!」とかってケータイで大声で話されると、「うるさいな」って思いそうになる。まだまだ未熟ですね。でもそんなときは、いつも「おつかれさま」って心の中で唱えるようにしています。みんながんばっているんだから、と。相手の悪意にほだされて自分も悪意にそまってしまっては、カルマ(業)になっちゃうので。日々修行ですね。

小松美羽(こまつ・みわ) 現代アーティスト

長野県坂城町生まれ。2003年に女子美術大学短期大学部へ入学。在学中の銅版画作品『四十九日』にて学内外から高い注目を集め、現在の活躍への足掛かりをつかむ。2014年、出雲大社へ作品『新・風土記』を奉納。2015年、庭園デザイナー・石原和幸氏のコラボレーション作にて「チェルシーフラワーショー」(イギリス)へエントリーし、ゴールドメダルを受賞。同作内の有田焼の狛犬作品『天地の守護獣』は、大英博物館日本館へ永久展示された。2017年には、東京ガーデンテラス紀尾井町で大規模な個展を行い、9日間で延べ3万人の集客を実現。同年公開の映画『花戦さ』では劇中画を手掛け、SONY「Xperia」のテレビCM出演も果たす。著書に『小松美羽 -20代の軌跡- 2004‐2014』(KADOKAWA)、『MIWA KOMATSU WORKS(English Edition)』(Kindle版)、『世界のなかで自分の役割を見つけること――最高のアートを描くための仕事の流儀』(ダイヤモンド社)がある。

『世界のなかで自分の役割を見つけること 最高のアートを描くための仕事の流儀』小松美羽著 ¥1512 ダイヤモンド社

今、世界中から熱視線を集める現代アーティスト、小松美羽さん。“見えない世界”を体験し始めた幼少期から、銅版画に出合い、さらに1点ものへと制作の幅を広げていった、現在に至るまでの半生が綴られています。人生のターニングポイントでの気づき、自らを変化させ、高めていく力など、小松さんのパワーの秘密がぎっしり詰まった1冊。

当たり前に大切にすべきことを、日々大切にして過ごす

作品からほとばしる覇気を感じさせない、とてもゆったりと柔らかな雰囲気で取材に応じてくれた小松さん。アーティストとしての前に、ひとりの大人として、人との出会い、つながりだけでなく、きちんと礼を尽くす、という姿勢が印象的なインタビューでした。当たり前に大切にすべきことを、日々大切にして過ごす。今小松さんが揺るぎない自分を持って世界に羽ばたけている理由は、そこにもあるかもしれないと思いました。

撮影/本間寛 取材・文/いなもあきこ

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