ボーダレスな女たち

自分を信じ続ける。ヘンプ・ビューティーの開拓者・塩田恵さんの挑戦

SPECIAL 2018.9.14

「海外」と「お金」をテーマに、海外へ飛び出しビジネスチャンスをつかんできた先輩たちに、30代女子を代表して斉藤アリスが質問する連載企画。第三回目は、ヘンプ美容の第一人者であるシャンブル代表の塩田恵さん。法律の壁や激しい社会批判がありながらも、大麻に情熱を傾け続けるのは一体なぜ!?

  • facebook
  • twitter

ヘンプを見つめてきた日々...気がつけば20年

30以上の国で医療大麻の使用が合法化されるなど、今世界で“大麻”の存在が見直されています。その健康効果にいち早く着目し、20年以上もヘンプ(=大麻)を見つめてきたシャンブル代表の塩田恵さん。

「挫折はたくさんありました。日本では、大麻であるヘンプを扱うのは無理なんじゃないか。仕事にしていくのはやっぱり違ったんじゃないか。やめようと思ったことも何度もあります。でも『これ!』と思えるものに出会えたのであれば、一筋縄ではいかないし挫折もあるけど、自分を信じるしかないのかなって。真面目にコツコツとやっていれば、いつか認めてもらえる。何年かかるか分からないけど、この国で大麻が見直される日が必ず来るだろう、そういう想いを糧にしてきました」

そんな熱い胸の内を語る塩田さんは、日本におけるヘンプビューティーの第一人者。ヘンプとは大麻の別名であり、さらには麻、マリファナと呼ばれることも。20代でひたすら世界を旅し、37歳で会社を設立。常に激しい批判や逆境に晒されながらも、その意思を貫いてきた。今に至るまで、仕事においてどんなことを大切にされてきたのでしょうか?

インタビュー中の塩田さん

世界中を旅した20代。きっかけは23歳での挫折...

—どうして旅をするようになったんですか?

もともと美容師をしていたのですが、3年で断念せざるを得ない状況になりました。薬剤が身体に合わず、全身に湿疹が出てしまったんです。23歳のときに3ヵ月ほど入院し、「私はこれからどうしたらいいんだろう」と病院のベッドで途方に暮れる日々でした。そんなときにふと「海外へ行ってみようかな」という気持ちになったんです。退院してすぐ、10万円だけ握ってタイに行ったんですよ、1人で。3ヵ月だったら10万あればやっていけるなと思って。

—そうだったんですか。かっこいい!

英語も話せないし、バックパックを背負って一人旅なんて初めてでした。若さゆえの勢いというか、何か見つけたかったんでしょうね。

—大麻の印象が変わったきっかけは?

最初はタイ、インド、ネパール、カンボジアを巡り、アジアに飽きてきた頃に欧米を巡り始めました。カナダ・バンクーバーへ行ったとき、葉っぱのリーフマークが付いているシャンプーや石鹸が売っていたんです。最初は意味がわからず、「これ、マリファナのマークだよね? マリファナ入り? いいの?」という感じでした。で、現地の方に聞いたら「種から絞ったものだよ。お肌にすごくいいんだよ」と言われて。アジアだけでなく、カナダやアメリカ、ヨーロッパで日常的に使われていることを知り、私の中で大麻の印象が大きく変わりました。

タイを旅行中の塩田さん24歳。

—それは確かに変わりますね。

日本に帰ってきてから「日本では麻薬と言われているけど、どうなんだろう?」と、気になって色々と調べてみたんです。そうしたら日本の文化と深く関わりがあることがわかって。日本に昔から自生していて、広く活用されていたことを知り、とても興味が湧きました。ただの海外のものだったら、あまり意識がいかなかったと思うんですけど。

—その当時、日本には全然帰ってこなかったんですか?

行ったり来たりでした。当時、私にとって“日本=稼ぐ国”だったんですよね。帰国したらひたすら1〜2ヵ月バイトをして、また現金を握って海外へ出ていく、みたいな(笑)

—ワイルド! 旅人生活は何年くらいされていたんですか?

25歳から30歳くらいまではやっていたかな。後半のほうはビジネスとして目的をもって旅していました。この原料だったらどこの国にいっぱいあるとか、だんだん仕事の頭になっていきました。

掲載当時の雑誌など。

チャンス到来!35歳で出版した本が話題に

—会社をつくったのは何歳のときですか?

2008年なので、37歳のときです。その頃、日本でもオーガニックコスメやスーパーフードが注目され始めていました。そこで“美と健康”という角度なら、ヘンプ(=大麻)に目を向けてもらえるだろうと思い、ヘンプ美容をテーマにした本を2005年に出版(著『ヘンプ・ビューティーをはじめよう』BAB JAPAN)。そして2008年にヘンプの化粧品を開発、販売をスタートしました。その結果、いくつか雑誌で特集してもらえることになって。それがきっかけで一気に売れ始めたんです。幸いなことに、目新しいものだったからメディアの反応は良かったんですよね。

—ビジネスをするだけでも大変なのに、なぜヘンプという難しいアイテムを選んだんですか?

女性でヘンプを扱っている人が他にいなかったんです。「ヘンプを日本で広められるのは私しかいない!」って、勝手に使命感が芽生えていたのかも(笑)。あとはもちろん自分の体で体感して、効果を実証できていたから確信がもてました。

—ヘンプナッツを食べるようになって、実際にどう変わったんですか?

免疫力が強くなるんです。人間の体に必要な必須アミノ酸、必須ミネラルが全部含まれていますから。私は麻の種を食べるようになって、病気をしなくなりました。いま47歳っていうとみんな何かしら薬を飲んでることが多いですが、私はそういうものは一切とっていないです。

開発したコスメブランド「CHANVRE」の製品。

—向かい風の強いアイテムを扱いながら、どうやって顧客を増やしたのですか?

実際にヘンプの食品や化粧品を使ってみると、日本人の身体にすごく合うんです。麻と日本には昔から歴史があるだけに。だから一回使うと、多くの人がリピーターになってくれました。そうやって、じわじわと年月をかけて広がっていった感じです。みんな自分で効果を体感すれば、自然と壁がなくなるんです。

—私だったら「周りに否定されるかもしれない」というのが怖いです。親や友達には何か言われなかったですか?

親からは「あんた何やってるの? 何か悪いことやってるんじゃないの?」と言われましたが、きちんと説明しました。「私がやっている事はこういうことです。法に触れることではないです」と。それでも10人中9人は「だめだよ」「やめたほうがいいよ」と言いますが。会社のホームページに批判のメッセージが来ることもありました。

日本アロマ環境協会での講演。当時37才

批判されるのは当たり前。だからこそ誠実に。

  • page 1 of 2
  • 1

HOLICS編集部

ACCESS RANKINGアクセスランキング

LATEST TOPICS最新記事

FEATURE特集記事まとめ

RECOMMENDHOLICS編集部からのおすすめ

これいいと思ったらシェアしよう

HOLICS公式Facebookページ

HOLICS ORIGINALSオリジナル特集記事まとめ

ACCESS RANKINGアクセスランキング

SPECIALスペシャル

TOTALすべての記事