フラワーアーティスト前田有紀のひとり言

和の心を楽しむ。自然の草花に出会える「花の寺」で年初め

SPECIAL HOLICS編集部 2019.1.1

お店やイベント会場のフラワーデザインなど、さまざまなシーンで活躍するフラワーアーティスト前田有紀さん。昨年、家族とともに移り住んだ鎌倉での暮らしは、子育てに家事に仕事にと、毎日大忙し! そんな慌ただしくも充実した日々の中で見つけた前田さんの“好き!”をご紹介する連載。毎月1日、季節の移ろいとともにお届けします。

1月「年初め、花の寺で過ごす静の時間と和の心」

2019年がスタートしました。みなさん、どんな風に新年をお過ごしですか? 私は自宅のある鎌倉でゆっくり過ごす予定です。そんな鎌倉は、1年のうちでも訪れる人が多い時期ですが、駅から離れたお寺にいくと、ひっそりとした雰囲気や雄大な自然を味わうことができます。

中でも「花の寺」として、有名なお寺も多く、休みの日に家族で散歩に出かけるのが楽しみのひとつ。普段フラワーアーティストとして、日々たくさんの種類のお花を取り扱っている私ですが、自然の姿の草花に出会うことは、何よりも“季節の移ろい”を感じさせてくれ、日々の制作の大切なインスピレーションにつながっています。

「円覚寺」「長谷寺」「浄妙寺」など、有名なお寺がたくさんありますが、今回はちょっと穴場の「花の寺」である、「海蔵寺」についてお話します。

扇ガ谷にある「海蔵寺」は、線路沿いを歩いて住宅街に入っていったところにあるこじんまりとしたお寺ですが、1年を通して花が絶えないお寺として人気があります。

有名なのは、4月のカイドウや9月のハギですが、紫陽花や紅葉もとてもきれい。先日は12月末に訪れたので1年の中でも花が少ない時期ではありましたが、冬枯れの風景の中で、万両(マンリョウ)や山茶花(サザンカ)がひっそりと咲いている姿は、なんとも言えない風情がありました。

早春に出回り、フローリストの中でファンの多い雪柳。雪のような小さな花が満開になるとうっとりする美しさですが、ちょっとだけ早いお花が咲き始めていました。

万両は、お正月の縁起木として有名です。

冬に花を咲かせる山茶花は、冬景色の象徴。

禅寺の建築は荘厳で、「静」と「動」で言うならば「静」。そこに雪柳やヤマブキなど、「動」のゆらぎのある草花がバランス良く配置されることで、建物や庭園がより美しく際立つのでした。

この「海蔵寺」は、鎌倉の名物でもある矢倉(洞窟のような場所)をじっくり見ることができる貴重なお寺でもあります。最後に、矢倉の中から、回遊式庭園の眺め。冬枯れの庭園を眺めてこれから咲くであろう色とりどりの花を想像して春を思うのも、冬ならではの花の楽しみ方。いい時間でした。

シダと苔に覆われた谷戸の空間から庭園を眺める。本来、こちらの庭園は非公開ですが、本堂の左側にある谷戸に向かうと、庭園の池の半分と茶室を眺めることができます。庭園はみられないと諦めていたところ、たまたま来ていた常連のお客さんが、このおすすめスポットを教えてくれました。

帰りには、近くにある「テールベルト&カノムパン」という素敵なカフェを訪れました。ハード系の美味しい本格派のパンとランチがいただけます。そして、ここでの楽しみは読書! たくさんの本が置いてあるので、そこからお気に入りの一冊を。花にまつわる本もたくさんあるので、美味しいパンを食べながら読書をするのに最適な、ゆっくりとした時間が流れるお店です。

オーナーのインテリアにもこだわりが強く、統一された世界観が楽しめます。ゆったり食事を楽しんだり、本を読んでくつろいだり。また、店内では、イギリスや北欧で買い付けた雑貨を販売、さらに乾靴職人さんによるオーダーメイドの革靴アトリエも兼ねています。ぜひ帰りに立ち寄ってみてください。

焼きあがったハード系のパンが並んでいます。

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