写真家・花盛友里が会ってみた。

クリエイターharu.さんが雑誌創りに注ぐ愛とぶれない生き方

SPECIAL 2018.7.12

今、20代の女の子が面白いーー。固定観念にとらわれることなく、とても柔軟に「好き」を仕事にする彼女たちの素顔に迫る新連載がスタート。撮影兼インタビュアーを務めるのは、人気写真家・花盛友里さん。第一回目となる今回は、芸大生にして雑誌の編集長も務めるharu.さんが登場! デジタルネイティブ世代の彼女があえて雑誌にこだわる理由や、クリエイションに対する価値観など、23歳の視点で語られた想いをお届けします。

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「情報がいくらでも無料で手に入れられるなかで、お金を払ってもらうだけの価値のある情報をモノで残したい」

「情報がいくらでも無料で手に入れられるなかで、お金を払ってもらうだけの価値のある情報をモノで残したい」と語るharu.さんは、「HIGH(er)magazine」というインディペンデントマガジンの編集長。幼少期と高校時代をドイツで過ごし、日本とドイツでの考え方の違いに触れ、戸惑いながらも「人と比べても意味がない」という自分自身の価値観を見出しました。 

東京藝術大学に入学した際に集めたメンバー5人で雑誌作りを開始し、現在は5冊目を製作中。ファッションやカルチャーを中心に、本当に自分たちが知りたいこと、表現したいことを自由に発信できる雑誌として創刊し、その想いは同世代だけでなく上から下まで幅広い世代から支持されています。 

花盛さんの写真集「脱いでみた。」にモデルとして登場したことのあるharu.さん。「花盛さんの写真が本当に好き」「haru.ちゃんの全てがタイプ」と、お互いの才能をリスペクトし合う関係性だからこそ見えてきたharu.さんの素顔とは?

花盛 「HIGH(er)magazine」を読んでいると、どことなく90年代っぽいなと感じるんだけど、それはなぜだろう。小さい頃から雑誌はよく読んでいた? 

haru. 母が絵本をよく読んでくれた影響もあって、もともとすごく紙が好きなんです。幼少期をドイツで過ごしたのですが、薬局で毎月配られる子供用の小冊子が大好きでいつも読んでいました。動物のグラビアのポスターも付録でついていたりして。ドイツは乗馬をする人が多いからか、子供用の馬専門誌もあるんです。そういったものをドイツでは読んでいたのですが、小学生のときに帰国してからは「Hana* chu→」や「ピチレモン」を買うようになり、日本の雑誌の面白さを知りました。その後「ViVi」や「Zipper」、「暮らしの手帖」に「Men’s FADGE」など、いろいろなジャンルの雑誌も見るようになり、毎月10冊くらい買っては読み漁っていました。 

花盛 10冊も!? お小遣い全部雑誌に遣ってしまっていたんじゃない? 

haru. お小遣いでは雑誌しか買っていなかったかもしれません(笑)。雑誌それぞれに世界観やこだわりがはっきりと存在していて、それを眺めるのがとにかく楽しくて、お気に入りのページを切り貼りしてコラージュしていましたね。 

以前、古本屋で買った90年代の「STUDIO VOICE」が面白くて読みふけっていたら、それを見た父が「バックナンバー持っているよ」と言って、過去の「STUDIO VOICE」を大量に譲ってくれたこともありました。昔の雑誌って、レイアウトがとにかく面白いんです。雑誌のレイアウトを見ているだけで楽しいです。

花盛 小学生のころからジャンル問わずにいろいろな雑誌を読んでいたなんて。周りのお友達と話が合わなかったんじゃない? 

haru. 私は昔から、ある一定の場所に属しているという感覚になったことはずっとないんですね。小中学生のときって学校にしか自分の世界がない中で、日本にいてもドイツにいてもいつも外国人の気分でした。友人と話をしても「あぁ、きっとあまり通じていないんだろうな」って。 

日本とドイツ、二つの国で暮らすと価値観がぶれちゃうんです。日本で良しとされていることがドイツでは通用しなかったり。もちろんその逆もあって、だんだん自分の正解がわからなくなっちゃうんです。例えば、ドイツでは思ったことはきちんと意思表示をして伝えないといけないのですが、日本で同じようにしたら、すごく厳しい子みたくなっちゃって。「haru.って空気読まないよね」って言われたり。でも、ドイツで「空気を読む」と日本人は意思表示が弱くて、おとなしいよねって言われる。なので、自分の中で「コレだけは信じてやるしかない」と強く心に決めていないと、軸がぶれちゃう感じはありました。

花盛 多感な時期にそういったことを経験したから、誰に対してもフラットで優しいharu.ちゃんなんだってわかった気がする。その大好きだった「雑誌」というものを、自分で作ってみようと思ったきっかけって? 

haru. 小学生のころにドイツから帰国したけれど、東日本大震災をきっかけにドイツの高校に進学することになったんです。その学校では、自分でテーマを決めてモノを作るプロジェクトがあり、そこでZINEを作ってみようと思ったのが雑誌作りのきっかけです。 

幼少期をドイツで過ごしたとはいえ、小学生から中学生までは日本で暮らしていたので、どうしても言葉の壁があり、周囲に自分の思いを100%伝えることができないことがとにかくコンプレックスでした。だから、「どうすれば自分をもっとわかってもらえるんだろう?」という思いから作った、コミュニケーションの手段でもありましたね。 当時は写真は撮っていなかったので、言葉とイラストを混ぜながら作りました。

花盛 そうだったんだ。でも、コミュニケーションもだけど、ドイツ語で勉強も......大変そう! 

haru. はい、たぶん人生で一番勉強しました(笑)。でも毎日やってもやっても追いつけない。頑張れば頑張るほど辛かったのですが、ある日自分がやったことが目に見えて成果につながるようになったんです。それからは、「そうか、自分のペースで頑張ればいいんだ」と、思えるようになりましたね。 

そのときの経験が今の活動すべてとつながっている気がします。周りと比べても意味がないっていうことを身をもって経験したおかげで、人と自分を比べることがなくなりました。

花盛 人と比べないようにしようと思っても、実際にはなかなかできないことだから、それをきちんと言えるのがharu.ちゃんの魅力だよね。でも、これだけSNSでいろいろな人たちの情報が毎日見られたら、周りと比べちゃう人の気持ちもわかる。 

haru. 日本と違い、ドイツにはいろいろな人種がいるので、髪も目の色もそれぞれ違う。でも、日本にいると人種としての劣等感を感じる人は少ないからこそ、服装やメイクなど見た目で判断されやすいのかもしれません。高校に入るまではスマホもなく雑誌が情報源だったから、「モテ特集」は、当時の女の子たちにかなりの影響を与えたと思います。日本のメディアは、「男は男らしく、女の子はこういうふうにすればモテる!」というのを、押し付けすぎているというか……。モテる服装を知ったからといって、それは本当に幸せにつながるのかな? 私は、性別に関係なく、みんなが自分らしく生きていける環境を作りたいです。 

花盛 確かに、日本のメディアから受ける影響力ってすごいよね。 

haru. 小学生のころだったかな、あるバラエティ番組を見てると、女性タレントに対して周りの出演者たちみんなが「バカ、バカ」と言って、そこで笑いが起きてることが不思議で仕方なかった。あと、自分の容姿をネタにしたり、またそれを周りの人たちが笑ったり......、「なぜそんなことができるのかな?」って。海外では、人の容姿について笑うことってまずないから。 

花盛 謙遜だったり、自虐ネタで笑いを取るのって日本独特なのかも。ところで、haru.ちゃんは自分の彼氏にも男らしくあってほしいとか思わない? 海外の男性のようにジェントルであってほしいとか。 

haru. 特にないかな。男らしくっていうことがどういうことかわからないんです。今の彼も付き合った当初はそういったことを気にしていたみたいなのですが、私がこういうスタンスなので、今はまったく気にしなくなりましたね。 

例えば、デートで男性が奢るとか多めに出すとかも、経済力がよっぽど上だったらそうすればいいと思うんですが、一緒にいて同じくらい楽しんだんだから、半分ずつ払えばいい。男らしくとか、女らしくという定義をなくしたほうが、絶対に生きやすいと思います。

花盛 haru.ちゃんの作る「HIGH(er)magazine」から、そういう意志が伝わってくるもん。いつもどんなふうにしてアイディアを考えているの? 

haru. 文化村会館の階段に座って音楽を聴きながら、人の流れをボーッと見ながら考えごとをしています。音楽はこれといったこだわりはないのですが、小さなころにクラシック楽器を習っていたこともあって、クラシックも聴きます。 

仲間との打ち合わせは、渋谷の「ON THE CORNER」というカフェですることが多いかな。

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