教えてアドラー♡恋のお悩み “対等な恋愛ができない”を変える勇気

LOVE 2018.9.9

アドラー心理学研究の第一人者で、大ベストセラーとなった『嫌われる勇気』の著者でもある哲学者・岸見一郎先生。恋愛論をまとめた著書『愛とためらいの哲学』をもとに、恋のお悩みに回答するシリーズです。今回は“彼と対等な関係が築けない”というお悩み。一体どうすればいいのでしょうか?

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Q.彼と対等な関係が築けないんです……。

現在の彼とは結婚を考えていますが、彼はずっと実家暮らしで、家事はすべてお母さん任せ。私の部屋に来たときもまったく何もしません。冷蔵庫の麦茶すら自分で注がず「麦茶ちょうだい」と言い、「自分で注いで」と言うと「じゃあいらない」と言う始末です。私は結婚後も仕事を続けるつもりですが、このままだと家事はすべて私がやることになりそう。その不安を告げると、「じゃあ仕事やめれば?」と言われました。そういう問題じゃないのに……。どうしたら彼に家事を分担してもらえるのでしょうか?(28歳・食品)

アドラーの言葉:「愛と結婚の問題は、完全な平等にもとづく時にだけ、満足に解決できる」

出典: gettyimages

結婚生活において、夫との関係性に不平等を感じている女性は少なくないもの。アドラーは上記のような言葉を授けてくれていますが、“完全な平等”は本当に実現可能なのでしょうか?

「アドラーは1920年代から、『あらゆる人間関係は対等でなければいけない』と何度も言ってきています。が、残念ながら現代になっても、対等な関係が築けているかというと、とくに、男女関係はそうではないと感じる人が多い。例えば以前『妻が実家に帰ったまま戻ってこない』と、私のもとにカウンセリングを受けにきた男性がいました。『何かあったのですか?』と聞くと、男性は『毎週末遊びに連れて行ってやっていたし、経済的にも何の不自由もさせていない』と答えたのです。でも妻は、それこそが不満だったのでしょう。彼女は夫と一緒に出かけて楽しんでいただけであって、別に遊びに“連れて行ってもらった”と思っていたわけではありません。ましてや、経済的に優位であることが人間としても優位であるということでもない。でも人間関係をそのように捉えている人は多いのではないでしょうか」(哲学者 岸見一郎先生)

出典: gettyimages

経済的に優位であることを理由に相手の生き方を制限してしまうと、その結婚生活は上手くいかなくなる、と岸見先生は言います。

「男性の役割、女性の役割、というふうに固定して考えてはいけません。どちらが外で働き、どちらが家事をするか、というのも、男女で決められた役割ではない。様々な都合でたまたまどちらか一方が外で働くことにした、というだけです。そもそも家事は誰かが専業するものではありません。本来は家族みんなで分担するもの。シンプルなことのはずなのに、『経済的に不自由をさせていない』という人は、相手を一段低く見て、家事を押し付けようとするのです」(哲学者 岸見一郎先生)

しかし、結婚する二人のどちらか、または両方が甘やかされて育てられてきた場合、家事の分担は難しいものになるそう。

「なぜなら甘やかされて育った人は、相手が自分を甘やかすことを期待するからです。そして甘やかされないと『自分は相手に理解してもらえていない』と考え、相手に対して攻撃的になる。とくに今の時代は甘やかされて育った人が多く、自分が貢献しなくても注目の中心にいられる、と考えている人が非常に多くなっている気がします」(哲学者 岸見一郎先生)

出典: gettyimages

彼がそんなふうに甘やかされて育ってきた場合、一体どうしたらいいのでしょう?

「他者は自分の期待を満たすために生きているのではない、と人はいつ知るのかといえば、それは誰かを愛し始めたときです。誰かを愛し始めると、人生の主語が“私”から“私たち”に変わる。真の自立とは、“私”ではなく“私たち”の幸福を達成する、という課題に向き合えるようになることなのです」(哲学者 岸見一郎先生)

A. “共鳴”を引き起こす関係になること

主語を“私たち”にするために必要なことは、相手を支配することでもないし、自分をなくして相手に合わせることでもありません。“共鳴”を引き起こす関係になることだ、と岸見先生は言います。

「人は決して一人で生きているのではなく、他者との関係の中に生きています。つまり、他者に支えられ、また支えて生きているのです。このような在り方を“相互依存状態”と言いますが、自分が完成するためには他者を必要としますし、他者もまた自分を必要とします。それゆえ、他者を支えなければならないのです。新しい恋が始まったことで、趣味や興味の対象が変わった、という経験をしたことがある人は多いと思います。最初は、新しく興味を持ったことの内容が理解できないかもしれません。それでも興味を持ち続けていくと、ある瞬間、ふとその意味が理解できるようになることがある。これが“共鳴”なのです」(哲学者 岸見一郎先生)

彼に無理矢理家事をやらせたとしても、それは支配であって、そのような状態は長く続くとは思えません。アドラーは、「他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じることが大事だ」と説いています。無理強いするのではなく、彼の心で感じようとすれば、“共鳴”が起きて、彼も彼女の心で感じられるようになるかもしれません。

岸見一郎 哲学者

1956年生まれ。京都府出身。京都大学大学院博士課程満期退学。専門の哲学と並行して、1989年からアドラー心理学の研究を始める。2013年に『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)を刊行すると一躍話題に。完結篇『幸せになる勇気』とあわせた“勇気”シリーズは、現在230万部のベストセラーとなっている。他に、初の恋愛論を綴った『愛とためらいの哲学』(PHP新書)など。

『愛とためらいの哲学』929円 PHP新書
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HOLICS編集部

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